犬鳴川のカワセミ
カワセミたちはそろそろ子育ての季節である。
一度に3~4個の卵を産み育てる。
普段は単独行動の彼等も、その期間のみ雌雄は協力して子育てに励む。
親に比べ地味な色彩の子供 天敵に見つからない為か
カワセミ類の成鳥は彼等自身、起きている間は1時間に小魚1匹の餌が必要であるが、子育ての間はそれに加えて我が子に与える餌が加わる。
しかも、子といえども親と同程度食べるのだ。
つまり、父母が4羽の子を育てる場合、全く平等に分担したとして、親1羽あたりこれまでの3倍の採餌量となる。
人間に置き換えたなら、共稼ぎ所帯収入を一気に3倍にする必要がある。
大変な努力が必要であるが、驚く事にこの時期には採餌のヒット率(私的造語:川に飛び込んだ回数と成功した回数の100分率)が異常に高まるのである。
子育てに必死になっている彼等の羽根も、この期間薄汚れていた。
カワセミ
前回、ツバメの項でF-14トムキャットの紹介をした事で思い出した、カワセミたちの話を書こう。
500系新幹線の話だ。
新幹線は初代0系(1964年10月1日の開業)から、100系、200系、と連なり、現在運用中の九州新幹線800系まで国内最高の技術を結集して開発製造されてきた。
その中でも、営業運転時速300Kmを越える使命を担って登場した車両が500系である。
高速運行のため様々な改良が施されたが、当時の環境庁の騒音基準をクリアする技術にフクロウの初列風切羽根にある空気の乱流を起こす機能が応用された。
パンタグラフのスタンドが起こす風切り音を減殺するためのボルテックスジェネレータである。
フクロウ類はツバメ類と違って早くは飛べないが、その代わり極度に静かな飛翔をする事ができるのだ。
夜行性のネズミなど、音に敏感な小動物を餌としているからである。
夕方まで川面をホバリングするもう一つの問題は、「トンネルのドン」(微気圧波)と呼ばれる現象。
新幹線が高速でトンネルに入った場合に発生する大きな「ドン」という騒音で、環境問題であると同時に自身の車両、すれ違う車両に大きなダメージを与える。
これらの問題を回避するため、新幹線のノーズ部分へカワセミの嘴形状が応用された。
500系は特にノーズが長い。
カワセミたちは、気体から全く密度の違う液体へ高速で飛び込み急激な流体抵抗の変化に耐える。
しかも、軽やかに大きな水しぶきも上げず。
これは彼等の特徴でもある頭以上に長い嘴に秘密がある。
カワセミの嘴は上嘴と下嘴がそれぞれ、三角形に近い断面をしており、合わせるとひし形に近い鋭い流線型をしており、これは研究機関によって微気圧波対策上、断面積の変化率が最も少ない形状の一つである事が確かめられた。
(HAB Research & Brothers and/or its suppliers.より)
JRは山陽新幹線以降、車両の形状のみでなく、トンネル出入口に緩衝工と呼ばれる構造物を設置し微気圧波に対処して来た。
最近、山梨リニア実験線ではその上部に円形の穴を開け微気圧波の圧力を徐々に逃がす工夫が加えられ効果を上げている様子である。「トンネルのドン」も押さえ込まれる日は近い。
自然は数万年のレンジで事を運ぶが、人間は10年レンジなのだろう。
人智も素晴らしい自然である。








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