
犬鳴峠
博多の東、筑豊との境に、犬鳴峠はある。
標高500~600mであるが、勾配がきつく、山は深い。昔そこに住んでいた漁師と、その猟犬にまつわる悲しい物語が犬鳴(いんなき)の由来とされている。その峠を集水域として、西には久山を通り博多へ向かって猪野川が、東へは犬鳴川が発している。
犬鳴川は、福岡県の大河遠賀川水系の九つある支流の一つで、全長20Kmほどの小さな川である。15年ほど前、犬鳴川の源流にダムが造られ、もともと水量も多くなかった川であったが、以後一層水嵩が減ってしまった。それでも、川の中流域には温泉が湧き、博多の奥座敷と言う触れ込みで、旅館が数件営まれている。小さなその川は、人々の生活を支え、同時に、流域に生息する様々な生き物の、命をも育んで流れている。
私は、そこへカワセミを追って通い始め、ある時からヤマセミに出会うようになった。流量の少ないこの川が、比較的体の大きなヤマセミ達をうまく養えるのかどうか、気がかりなところである。
撮影に行ったこの日、急に雲が湧き出し雷とともに大粒の雨が落ちてきた。
空は人の手が入りにくい、自然の聖域のひとつとなった。







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